ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
向けられた冷たい眼差しに体を竦ませると、すぐに彼女の表情が変化した。にこりと笑いかけられ、ロザンナもなんとか微笑み返す。
そのままマリンは顔を逸らしたが、彼女を取り巻く花嫁候補たちが睨んでくるため、ロザンナは心の中でため息をつく。
約一年前、アルベルト王子の花嫁候補としてアカデミーにやってきたのが約四十名。全てが爵位を持つ家に生まれた娘たちだ。しかし、今はその半分ほどの人数しか残っていない。
マナー講師の厳しさについていけなかったり、原則として寮に入るため、共同生活どうしても耐えられなくなったり、王子の言動から誰を選ぶかのおおよその見当がつき始めると、自分は無理だと判断し諦めたりなど、様々な理由から去っていったためだ。
王子の心を得られず去る者もいれば、目標を変えて残る者いる。
ロザンナやマリンの周りにいる婚約者候補たちがそうで、彼女らは自分の予想する未来の王妃に取り入っておけば、将来自分の、はたまた自分の家の有益になるかもしれないという考えなのだ。
一ヶ月前まで、花嫁はほぼマリンで決まりだろうと誰もが思っていたのが、ロザンナがうっかり最終試験でマリン超えの優秀な成績を残し、それをアルベルトが褒めたことで花嫁候補者たちの間で動揺が広がり出す。