ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「ゴルドンさん!」
「あぁ良かった。そろそろ迎えが来る時間なのに、なかなか帰ってこないから探しに行こうと思っていたところでした」
ロザンナは勢いそのままにゴルドンの目の前までやってくるも、顔を見てホッとしたからかがくりと足の力が抜けて倒れそうになる。
「どっ、どうしました? ……それは血ですか? どこか怪我を!?」
体を支えると同時に、ゴルドンはロザンナの手に血が付着しているのに気気づき、目を見開く。ロザンナはすぐに手を横に振って否定する。
「私じゃないの。裏の林に怪我をしている人が。その場で傷口は処置しました。でも大量に出血していたみたいだから、回復薬だけでも持っていってあげようかと」
「……わかりました。一緒に行きましょう」
ゴルドンは真剣な面持ちでそう答えて戸口にランタンをかけると、素早く診療所の中へ移動する。
ロザンナはゴルドンを追いかけるが、めまいに襲われ、待ち合い室の中程で足が止まった。
なんとか倒れ込むことなくその場に留まっていると、カゴを手に戻ってきたゴルドンが、ふらついているロザンナに気づき、慌てて駆け寄る。