ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
ゴルドンも急に黙ったロザンナの様子が気になったのだろう。「どうしましたか?」と不安げに尋ねた。
「たぶん、騎士団の方だと思います」
「騎士団員ならこれ以上の心配は不要ですよ。兵舎に戻れば高度な医術が受けられますから。……他にも何か気がかりが?」
それでもロザンナの表情が晴れず、ゴルドンが質問を追加する。ややを置いてから、ロザンナは思い切って口を開いた。
「騎士団員のクリスタルチャームって、所属ごとに色が分かれていますよね。赤と青と黄色。……それ以外の色はありますか?」
ロザンナの視線の先で、ゴルドンがわずかに目を見張る。辺りに気配がないのを確認した後、囁くように答えた。
「第一から第三、だから色も三つだけ……一般的にはそのように知られていますが、実際はそれ以外にも存在しています。ただ表立って活動していないから、その存在も知られていないだけで」
「あるんですね」
「ちなみに何色でした?」
「たぶん、紫色だったように思います」
アルベルトから、ゴルドンが聖魔法師として第一線で活躍していたのを聞いている。その時、秘された部隊に属する者たちを治癒したこともきっとあるのだろう。