ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
自分がどうなったっていい。絶対に助ける。
思いに呼応するように、手が輝きを増す。しかし、母の時のようにその輝きで父を包み込むには至らず、光は弱くなっていく。
このままでは……と最悪の結末が頭を過り、ロザンナの目から涙がこぼれ落ちたその瞬間、横から伸びてきた大きな手がロザンナの手に重なった。
「よく頑張ったな。もう大丈夫だ」
聞こえた力強い声にロザンナは心の底から安堵する。そして虚に視界を移動させ捉えたゴルドンの真剣な横顔に、止めどなく涙が溢れ出す。
「……お父様を、……どうか」
それだけ言葉を紡いで、ロザンナは崩れ落ちるように意識を手放した。
ロザンナが目覚めたのは、それから二日後のことだった。
力を使い果たしてしまったせいかめまいが酷くて歩くこともままならないため、ベッドに横たわったままでぼんやり天井を見つめていると、突然ばたりと扉が開かれた。
「ロザンナ!」
「アルベルト様」
慌てて入ってきたアルベルトにロザンナは目を丸くするも、すぐに上半身を起こそうとする。アルベルトは素早く歩み寄り、支えるように手を伸ばす。