あまやどりの魔法




「え?」

「雨のこと」


焦がれる太陽に似てるからだろうか。

葉月くんのことを好きになるかと聞かれたみたいな錯覚をおこしてはずかしくなる。


「どうだろ?…ハッピーの変え方によっては、なるかもしれない」

「そこはなるじゃないんだ!」


「だって、どうやって変えてくれるのか分からないし、私の雨ぎらい、結構だよ?」


…そう、結構なはずだったんだ。

私の雨ぎらいは。



だけど不思議と、葉月くんの話を聞いてからは、雨も悪くはないかもと。


疎ましく思っていたシャッターの向こうで、雨粒にうるおってきらめいてる紫陽花のことも、もう一度みてみたい。

そんな気持ちになれている、私がいるんだ。


気分があがらない雨の日でも、太陽を感じられる。幸せは、視点を変えてみるだけで意外と近くにいてくれたりする。



「とかいって、実はちょっと好きになりかけてるでしょ?」



そう、絶対的なひだまりで包んでくれた、葉月くんのおかげなんだと思う。


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