あまやどりの魔法



「え、紫陽花?どういうこと?」


突然切り出された謎の比喩に、少しずつ色の違った小さな花びらがたくさん集まって咲く、紫陽花を思い浮かべた。


思い浮かべたところで、よく分からなかったけれど。



「俺ってさ、ひまわりが1番すきそうでしょ?」

「うん。なんか似てるよね」

「よく言われる!」


私の疑問をおいて、おちゃめに笑う葉月くん。


思い浮かべた紫陽花の色は、一体どんな色をしているんだろうと、そればかり思う。


「けど、紫陽花が1番すきなんだよね」


大嫌いだった雨と花言葉のせいで、紫陽花に対するイメージはあまりよくなかったけど、

そんなことは、きっと問題じゃない。



角度を変えてみつめてみれば、きらりと輝くことがあると知ったから。



「私も嫌いじゃないよ、紫陽花」

「お?好きになった?」


そう、教えてくれた葉月くんを、もっと知っていきたい。



「うん。でも…

私は、ひまわりが1番すきだよ」


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