時の止まった世界で君は
「あ!ひろくん!おそーい」
そうぷくっとほっぺたを膨らませるのは、元気が有り余った様子のなつみちゃん。
なつみちゃんは昨日から検査のために入院していて、普段は元気いっぱいのなつみちゃんは病院ではしゃげなくて元気が余っているようだ。
「ごめんごめん。ちょっと準備に時間かかっちゃってさ。」
「……?なんのじゅんび?」
「なつの検査の準備だよ。昨日から言ってたでしょ?」
"検査"と聞いた瞬間、なつみちゃんは一瞬にして静かになる。
そして……
「やだっ!!!!なつ検査やんないよ!!!!!!」
…やっぱり、そうなるよね
「ダメだよ。検査のために病院にお泊まりしに来たんでしょ?検査しないと帰れないよ。」
「やだやだやだやだっ!!!!なつやんない!!!!!!検査しないもん!!!!!」
「…じゃあ、なつはずっと病院にお泊まりだね。なつの好きな公園にも行けないし、検査終わらないとプレイルームにも行けないよ。」
そう言う染谷先生の表情は少し悲しそうだ。
「やだやだやだ!!!!!!なんでだめなの!!!!ひろくんのいじわる!!!!ばか!!!!!きらい!!!!!!」
スッと病室内の気温が下がった。
「……じゃあ、いいよ。検査しなくて。」
先生の声は、いつもより低くて怖いくらいに単調だ。
それを聞いて、なつみちゃんも言い過ぎに気が付いたのか焦った表情になる。
「…っ、染谷先生」
さすがに俺も助け舟を出そうと口を挟むも、染谷先生の冷たい目線に声が詰まる。
「瀬川ももういいよ。忙しいのに呼んじゃってごめんな。医局、戻ろうか。」
そう言うと、染谷先生は何も言わずに病室を出ていってしまう。
追いかけるべきか、残るべきか考えていると、背後からすすり泣く声が聞こえてきた。
みると、なつみちゃんが顔をクシャクシャにして泣いている。
「エッグ…ヒック……ひろくんのばかあ…」
予想よりも大きな声で、病室の外の染谷先生に聞こえていないか少し焦る。
「だ、だって…ヒック、なつ、いやなんだもんエッグ……検査、痛いんだもんん…うわああああ」
そうだよね、痛い検査は嫌だよね。
…染谷先生もなつみちゃんが検査を嫌がることをわかっていたはずだ。
だから、なつみちゃんが駄々をこねることも予想していたはず。
でも、誰よりもなつみちゃんを心配しているからこそ、その心配している気持ちを踏みにじられる言葉を言われたことがショックだったんだろう。
きっと、本気で怒っているわけではない。
なつみちゃんも、嫌だけどやらなきゃいけないのはわかっているはず。
ただ、自分が思っているよりも少し言い過ぎちゃって染谷先生が怒ってしまったことにびっくりしている。
俺は、なつみちゃんを宥めることを優先した。
「なつちゃん、1回落ち着こうか、息苦しくなっちゃうよ。」
「…ヒック……ひろくん、ひろくん…」
染谷先生を怒らせてしまったことがよっぽどショックだったらしい。
なつみちゃんは泣きながら染谷先生の名前を呼ぶ。
「ひろくん、ヒック…ごめんね……エッグ、ごめ、んね…ヒック……だから、いかないで…」
そっか、なつみちゃんがそんなにショックを受けるのは染谷先生がなつみちゃんにとっての唯一の家族のような存在だからか。
だからなつみちゃんは染谷先生を失うかもしれないと思ってこんなに泣いているんだ。
そうぷくっとほっぺたを膨らませるのは、元気が有り余った様子のなつみちゃん。
なつみちゃんは昨日から検査のために入院していて、普段は元気いっぱいのなつみちゃんは病院ではしゃげなくて元気が余っているようだ。
「ごめんごめん。ちょっと準備に時間かかっちゃってさ。」
「……?なんのじゅんび?」
「なつの検査の準備だよ。昨日から言ってたでしょ?」
"検査"と聞いた瞬間、なつみちゃんは一瞬にして静かになる。
そして……
「やだっ!!!!なつ検査やんないよ!!!!!!」
…やっぱり、そうなるよね
「ダメだよ。検査のために病院にお泊まりしに来たんでしょ?検査しないと帰れないよ。」
「やだやだやだやだっ!!!!なつやんない!!!!!!検査しないもん!!!!!」
「…じゃあ、なつはずっと病院にお泊まりだね。なつの好きな公園にも行けないし、検査終わらないとプレイルームにも行けないよ。」
そう言う染谷先生の表情は少し悲しそうだ。
「やだやだやだ!!!!!!なんでだめなの!!!!ひろくんのいじわる!!!!ばか!!!!!きらい!!!!!!」
スッと病室内の気温が下がった。
「……じゃあ、いいよ。検査しなくて。」
先生の声は、いつもより低くて怖いくらいに単調だ。
それを聞いて、なつみちゃんも言い過ぎに気が付いたのか焦った表情になる。
「…っ、染谷先生」
さすがに俺も助け舟を出そうと口を挟むも、染谷先生の冷たい目線に声が詰まる。
「瀬川ももういいよ。忙しいのに呼んじゃってごめんな。医局、戻ろうか。」
そう言うと、染谷先生は何も言わずに病室を出ていってしまう。
追いかけるべきか、残るべきか考えていると、背後からすすり泣く声が聞こえてきた。
みると、なつみちゃんが顔をクシャクシャにして泣いている。
「エッグ…ヒック……ひろくんのばかあ…」
予想よりも大きな声で、病室の外の染谷先生に聞こえていないか少し焦る。
「だ、だって…ヒック、なつ、いやなんだもんエッグ……検査、痛いんだもんん…うわああああ」
そうだよね、痛い検査は嫌だよね。
…染谷先生もなつみちゃんが検査を嫌がることをわかっていたはずだ。
だから、なつみちゃんが駄々をこねることも予想していたはず。
でも、誰よりもなつみちゃんを心配しているからこそ、その心配している気持ちを踏みにじられる言葉を言われたことがショックだったんだろう。
きっと、本気で怒っているわけではない。
なつみちゃんも、嫌だけどやらなきゃいけないのはわかっているはず。
ただ、自分が思っているよりも少し言い過ぎちゃって染谷先生が怒ってしまったことにびっくりしている。
俺は、なつみちゃんを宥めることを優先した。
「なつちゃん、1回落ち着こうか、息苦しくなっちゃうよ。」
「…ヒック……ひろくん、ひろくん…」
染谷先生を怒らせてしまったことがよっぽどショックだったらしい。
なつみちゃんは泣きながら染谷先生の名前を呼ぶ。
「ひろくん、ヒック…ごめんね……エッグ、ごめ、んね…ヒック……だから、いかないで…」
そっか、なつみちゃんがそんなにショックを受けるのは染谷先生がなつみちゃんにとっての唯一の家族のような存在だからか。
だからなつみちゃんは染谷先生を失うかもしれないと思ってこんなに泣いているんだ。