時の止まった世界で君は
「端的に言うと、俺さ……なつの主治医務める自信、無くしちゃったんだよね。」
染谷先生は笑いながら言ったものの、その目は仄暗く、寂しい色をしていた。
「…なんつーかさ、俺らって常に冷静な判断を求められるわけじゃん?……それが、なつの前になると調子狂うっていうか…、どうしても感情移入しちゃうんだよ…… 」
ああ、そういうことか
何となく先生の言いたい事の察しはついた。
「だから、俺は務めるべきじゃないかもなって思って。…俺の判断ミスで、なつに何かあったら大変だから……」
よく、医師の間で言われることがある。
身内切りはするな。
理由としては、身内ということからつい私情が入り、正確な判断が出来なくなってしまうからだ。
簡単な診察ならまだしも、身内で主治医を務めるのはほぼ禁忌となっていた。
染谷先生にとって、なつみちゃんは身内ではないけれど、ずっとこれだけ一緒に過ごしきたんだ…ほぼ身内のようなものだろう。
それで、染谷先生は感情移入をしてしまうことを恐れて…ということか。
「…成程。理解はしました。……でも、先生の後任は誰が務めるんですか。」
「そうなんだよね……」
そう言うと、染谷先生はまた乾いた笑いをした。
先生の目に浮かぶのは不安の色ばかり。
でも、当たり前か…
ずっと付き添って診てきた子を任せるとなると、相当信頼を置いている人か、腕のいい先生しか……
「…瀬川、お前やってくれない?」
「え………」
染谷先生は笑いながら言ったものの、その目は仄暗く、寂しい色をしていた。
「…なんつーかさ、俺らって常に冷静な判断を求められるわけじゃん?……それが、なつの前になると調子狂うっていうか…、どうしても感情移入しちゃうんだよ…… 」
ああ、そういうことか
何となく先生の言いたい事の察しはついた。
「だから、俺は務めるべきじゃないかもなって思って。…俺の判断ミスで、なつに何かあったら大変だから……」
よく、医師の間で言われることがある。
身内切りはするな。
理由としては、身内ということからつい私情が入り、正確な判断が出来なくなってしまうからだ。
簡単な診察ならまだしも、身内で主治医を務めるのはほぼ禁忌となっていた。
染谷先生にとって、なつみちゃんは身内ではないけれど、ずっとこれだけ一緒に過ごしきたんだ…ほぼ身内のようなものだろう。
それで、染谷先生は感情移入をしてしまうことを恐れて…ということか。
「…成程。理解はしました。……でも、先生の後任は誰が務めるんですか。」
「そうなんだよね……」
そう言うと、染谷先生はまた乾いた笑いをした。
先生の目に浮かぶのは不安の色ばかり。
でも、当たり前か…
ずっと付き添って診てきた子を任せるとなると、相当信頼を置いている人か、腕のいい先生しか……
「…瀬川、お前やってくれない?」
「え………」