時の止まった世界で君は
「なつ、急なお話になっちゃってごめんね。でも聞いてほしいの。お願い。」

「…………」

なつの返事はない。

完全に拗ねちゃったかな…

「なつ、お願い。」

そうしばらく声をかけ続ける。

最初は泣き声が聞こえていたものの、少しすると聞こえなくなり、数分するとなつは顔を出した。

目は真っ赤でまだ拗ねた顔をしている。

「……なんで」

そう言う声は、少し震えている。

「まず、本当にごめん。急なことになっちゃって。担当は変わるっていってもね、毎日ちゃんと来るし、なつのこといやになったとかじゃないんだよ。本当に。理由は…話せない。でもね、なつのためなんだ。」

「うそ……ひろくん、なつのこといやになったんだ。…なつのこと、みんなみたいにおいてくんだ」

違うのに…

でも、なつからしたら大人はみんなそう見えているのかもしれない。

「ちがう。絶対に置いていかない。それだけは本当に信じて欲しい。毎日会いに来るのも約束する。だから、聞いて。」

両目に涙をいっぱい溜めたなつは、悲しそうな表情のままキュッと口を結ぶ。

ごめん、なつ、そんな顔させて
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