時の止まった世界で君は
それから約一時間後、染谷先生は予定よりもだいぶ早く、駆けつけてくださった。
何があったのか事情を話すと、一瞬顔を曇らせてから直ぐになつみちゃんの元へ駆け寄った。
「なつ、遅くなってごめん。お話、聞いてもいい?」
なつみちゃんは、布団からそっと顔を出すと涙で腫らした目で染谷先生を見る。
「誰も怒ってないよ。何があったのか教えて欲しいんだ。」
「…ひろくん……」
なつみちゃんは染谷先生に抱っこを求める。
染谷先生は、そんななつみちゃんを軽々と抱き上げて慣れた様子で背中を撫でた。
「………なつ、変じゃない…」
「ん?そうだね。なつは変なんかじゃないね。」
「……なつ、変じゃないもん…、それで……嫌だった。」
なつみちゃんは、しゃくりを上げながら、絞り出すように話す。
「"変だ"って、言われたの?」
コクン
「…………なつ、大きいのに…おもちゃで遊んでて、変って……いうの…なつ、変じゃないのに………変じゃないのに…」
そう言うと、なつみちゃんは目にいっぱい涙を溜めてそれをこぼした。
「そっか。そっか。変って言われて嫌だったんだね。…そうだよね、急にそんなこと言われたら嫌だもんね。それで、押しちゃった?」
……コクン
「そっか。嫌なこと言われたのは、悲しかったね。…でも、お友達のこと押してもいいのかな。もし、お友達の後ろに棚とかあったらどうする?お友達、怪我しちゃうかもしれない。」
「…でもっ、でもっっ、なつ、悪くないもんっ!!」
「…なつが、すごく嫌な思いをしたのはわかったよ。でも、お友達を押しちゃったのは良くなかったんじゃないかな。」
「だって…なつ……なつ…………」
さっきより一層涙をこぼして泣くなつみちゃんを染谷先生は、そっと背中を撫でてなだめる。
「嫌な思いしたね。…でもね、なつもお友達に嫌な思いさせちゃったかもしれないよ。……今は、嫌なこと言われて悲しくて辛いと思う。…でも、少し落ち着いたらごめんねしに行かない?」
…………コクン
「うん。いい子。…よしよし、嫌だったね。悲しかったね。」
染谷先生がそう言うと、なつみちゃんは堰が切れたようにワッと泣き始めてしまった。
「…なつ、変じゃないもん」
「うん。変じゃないよ。元気で明るくて、頑張り屋さんなこと知ってるよ。変なことろなんてひとつもない。大丈夫。」
先生の言葉に、さらに泣き出すなつみちゃん。
泣いているうちに、咳が出てきて少し雲行きが怪しくなる。
「瀬川」
染谷先生が目線を棚の方に向ける。
棚の1番上の引き出しを引くと、喘息の吸入器が出てきた。
それを急いで染谷先生に手渡す。
すると、先生は慣れた様子でなつみちゃんに薬を吸わせる。
「大丈夫。大丈夫。」
しばらくすると、咳も収まり、なつみちゃんは泣き疲れたのかそのまま染谷先生の腕の中で眠ってしまった。
何があったのか事情を話すと、一瞬顔を曇らせてから直ぐになつみちゃんの元へ駆け寄った。
「なつ、遅くなってごめん。お話、聞いてもいい?」
なつみちゃんは、布団からそっと顔を出すと涙で腫らした目で染谷先生を見る。
「誰も怒ってないよ。何があったのか教えて欲しいんだ。」
「…ひろくん……」
なつみちゃんは染谷先生に抱っこを求める。
染谷先生は、そんななつみちゃんを軽々と抱き上げて慣れた様子で背中を撫でた。
「………なつ、変じゃない…」
「ん?そうだね。なつは変なんかじゃないね。」
「……なつ、変じゃないもん…、それで……嫌だった。」
なつみちゃんは、しゃくりを上げながら、絞り出すように話す。
「"変だ"って、言われたの?」
コクン
「…………なつ、大きいのに…おもちゃで遊んでて、変って……いうの…なつ、変じゃないのに………変じゃないのに…」
そう言うと、なつみちゃんは目にいっぱい涙を溜めてそれをこぼした。
「そっか。そっか。変って言われて嫌だったんだね。…そうだよね、急にそんなこと言われたら嫌だもんね。それで、押しちゃった?」
……コクン
「そっか。嫌なこと言われたのは、悲しかったね。…でも、お友達のこと押してもいいのかな。もし、お友達の後ろに棚とかあったらどうする?お友達、怪我しちゃうかもしれない。」
「…でもっ、でもっっ、なつ、悪くないもんっ!!」
「…なつが、すごく嫌な思いをしたのはわかったよ。でも、お友達を押しちゃったのは良くなかったんじゃないかな。」
「だって…なつ……なつ…………」
さっきより一層涙をこぼして泣くなつみちゃんを染谷先生は、そっと背中を撫でてなだめる。
「嫌な思いしたね。…でもね、なつもお友達に嫌な思いさせちゃったかもしれないよ。……今は、嫌なこと言われて悲しくて辛いと思う。…でも、少し落ち着いたらごめんねしに行かない?」
…………コクン
「うん。いい子。…よしよし、嫌だったね。悲しかったね。」
染谷先生がそう言うと、なつみちゃんは堰が切れたようにワッと泣き始めてしまった。
「…なつ、変じゃないもん」
「うん。変じゃないよ。元気で明るくて、頑張り屋さんなこと知ってるよ。変なことろなんてひとつもない。大丈夫。」
先生の言葉に、さらに泣き出すなつみちゃん。
泣いているうちに、咳が出てきて少し雲行きが怪しくなる。
「瀬川」
染谷先生が目線を棚の方に向ける。
棚の1番上の引き出しを引くと、喘息の吸入器が出てきた。
それを急いで染谷先生に手渡す。
すると、先生は慣れた様子でなつみちゃんに薬を吸わせる。
「大丈夫。大丈夫。」
しばらくすると、咳も収まり、なつみちゃんは泣き疲れたのかそのまま染谷先生の腕の中で眠ってしまった。