時の止まった世界で君は
沢山の水槽やショーを見て、水族館もそろそろ終わり。

出口前のお土産コーナーに差し掛かる。

ふと、なつの足取りが遅くなった気がして、表情を見ると、なつの顔からは笑顔が消えていた。

もう、終わりって気付いちゃったのかな。

「なつ、お土産見に行こう。1個までならなんでも好きな物買ってあげるよ。」

そう声をかけると、なつは渋々といった顔で頷いた。

今日は例え強請られるのが大きなぬいぐるみでも良い。

なつがそれで、これからの治療を頑張る足がかりになるなら何だって買ってあげたい。

そう思いながら、なつの背中を見守った。
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