愛は惜しみなく与う⑥

「俺は杏を可愛く可愛く育てたんだ!昔言ってたじゃねーか」

「何をよ」

泣きそうな声で、あたしに縋る雄作さん



「大きくなったら俺と結婚するって言ってたろ!!!!」



「ゆうてへんわ!!!!」


スコーンと雄作さんの頭を平手打ち
何ゆうてんの

てゆうか、なんで結婚の話!


「真面目な話やのに!」

「杏?これも真面目な話だ。もしこれに俺が頷けば、よしよしもできない」


何真面目な顔でゆうてんの
泉の口からよしよしって単語聞きたくなかったわ!


「昨日みたいなこともできない…」


しょんぼりとそう付け加えた

昨日…


夜のことを思い出して少し顔が熱くなる。もう!雄作さんの前でやめてよ!

そう言おうとしたら…



雄作さんは泉の頭にゲンコツを入れて、こう言った


「お前これが終わったら覚えとけよ?」


マジな顔をして…
男ってアホやな。何歳になっても



「そろそろええ加減にせな、怒るで」



子供に言い聞かすように言えば、2人とも大人しくその場に座り直した
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