愛は惜しみなく与う⑥
小さい頃からあたしのお父さんは、雄作さん、ただ1人


「雄作さんは、あたしの自慢のお父さんやで。強くてカッコ良くて!人の上に立てる器で、昔から変わらず家族想いで……いつも優しいお父さんが大好きやで」


言葉にして思った

あたしは不幸なんかじゃない

こんなにも恵まれてるんやから

本当の家族がいなくたって、家族の幸せを与えてくれる人が周りにいっぱい居た


それって、普通の人じゃできひん。



あぁ

志木に会いたいな

うるさい朔にも会いたい
優しい慧にも会いたい 
可愛い響にも会いたい
ちょっと腹黒い新にも会いたい


みんなに会いたいな



「おめーら聞いたか!!誰か今の杏の言葉録音してただろうな!?!?」


突然雄作さんが鼻をすすりながら大きな声を出す。ビクってなったよ、ビクって…

首をよじって、大人しくあぐらをかいて座っている組員たちを見れば、全員プルプルと震えて首を横に振っている



「どりゃーー!おめーら!役にたたねぇ奴らだな!!!!杏の可愛い告白、2度と聞けねぇじゃねーか!!!全員破門だゴルぁぁ!!」
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