愛は惜しみなく与う⑥
なんでサトルはあんな風になってしまったんやろうとか…
そんなことは思わへん。
どんな理由があれど、同情する気もない
「あたしは、あたしを信じて待ってくれてる人のための…あたしを支えてくれる人のために頑張るよ」
片手をスッとあげる
この手で届く範囲の人たちは守りたい
これ以上被害が出ないように
挙げた手を下ろし、泉の頭の方に首を傾ける
あたしも少し寝ようかな
ゆうてあんまり寝れてないしさ
あたしの肩にもたれかかる泉の頭をあたしは枕にして寝る
誕生日会か…嬉しいな
目を閉じても嫌な光景が浮かばない
ここ最近はずっと、嫌な夢を見たり、鈴の泣く顔が浮かんだり…
でも今はそんなことない
「おやすみ、杏」
あれ?おかしいな
泉は寝てたはずやのにさ
おやすみって言われた気がする
まぁいいか
今日みんなが祝ってくれる誕生日会が終われば……
明日はサトルに面と向かって会いに行く
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