愛は惜しみなく与う⑥
「昨日な、泉が屋敷に攻めてきた頭の悪い、山元組の奴らを一人で蹴散らしてん。それ見て、あたしの護衛にぴったりやと任命された」


ほんまに、楽やったわ
変に交渉せんでよくなってしさ。


『はぁ…相変わらず暴れてるなぁ。まぁ無事ならいい。で、如月家って……サトルだろ?』


そうか。もう…朔達も知ってるんやな


「そう。喧嘩しにいく訳じゃない。ただ話そうと思って。何もわからへんまま…なんでこんな事になったか知らへんまま、終わりたくないねん」


喧嘩して刑務所にぶち込んでも、理由も分からへん。そんな状態は嫌やから


『泉、スピーカーやめろ』

「……わかった」

「うわ!!あたし除け者??」


朔のアホ!ここまできたら全部聞かせろよ!!泉から携帯を奪うと同時に、あたしの携帯が震えだす


『杏、出てやってくれ』


困ったような声でそう言う朔

震える携帯を見てみれば…



志木の名前が見えた



パッと電話を手に取り耳に当てる


泉はそんなあたしを見て、スピーカーにしていた携帯を耳に当て、あたしから少し離れた


手が震える
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