愛は惜しみなく与う⑥
最近、志木さんとかなりの時間を過ごした。志木さんは嫌がるかもしれないけど、俺にとっては大事な人だから
「…あなた達の知り合いの、ヤブ医者の所へ連れてってください」
観念したのか病院に行くことに頷いたけど、ヤブ医者って……助國さんか?
闇医者な?
こんな状態でもチクリと毒を吐く志木さん。そんなこと言ってる場合じゃないだろ?
志木さんはしんどそうに項垂れているが、まだ耐えれると言うから車で連れて行く
「何があったか聞かないんですか?」
…
「そんなボロボロで…意識もハッキリしてない人の話は聞いてられませんよ。ただ時間もないんで、落ち着いたら全部話してください」
そういうと志木さんは、すみません。そう一言呟き、後部座席で寝転がった
限界だったんだろう
でも本当によかった
もし志木さんが死んだらって…一瞬でも嫌な想像したのは、精神的にしんどかった
妹に刺された志木さん
そのあと妹はどうなったのか
どこへ行ったのか
それも分からない
ただいまは…志木さんの容態が落ち着くのを待つしかない