愛は惜しみなく与う⑥
知ってるんですね


「そうですよ。杏様はたくさんの人を守るために、貴方の振りをして蘭様の精神安定剤となり、東堂財閥を守っています。彼女の全てをかけて」


それを今確認してどうする。
鈴はその事を、どう思ったんでしょうか。何を考えてるんでしょう

でもそんな事、どうでも良くなってしまうようなことを鈴は言った





「婚約者はサトルよ?このまま行けばお姉ちゃんは、サトルと結婚するんだよ」


鈍器で…
いや、もうライフルで頭を撃射抜かれるかのような衝撃が走る


何を?
婚約者?
目の前の鈴の言うことが理解できない


「あれ、知らなかったの?如月財閥の、如月冬馬は、サトルのことよ」


…は?如月冬馬とサトルが同一人物?

何を訳の分からないことを……え?

どうして?どうして…私はその可能性を考えなかったんでしょうか。
いや、考えたことはある。


ただ水瀬にあった時に、サトルが刑務所から出して欲しいという人物が、如月冬馬だと言っていた。
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