愛は惜しみなく与う⑥

「不安か?」

「うん……」

「あいつらの意志でここに来たからさ。追い返すのはやめてやって。大丈夫だから」


何を根拠に大丈夫ゆうてんねん。て気持ちと、志木も泉も大丈夫って言うから、大丈夫なんかなって気持ちが混ざる。



「逆の立場なら?あいつらが何か抱えてて、助けてやりたかったら?杏なら地の果てでも追いかけて助けに行くだろう?」

「アホ、地の果てまで行けるかいな」


でもそうやな
あたしも何がなんでも、来るな言われても助けにいく


「あいつらも不安なんだ。動かせてやって。志木さん達がついてるから。大丈夫」


そう言った後、泉は何も話さなくなった


あたしもただ、通り過ぎる景色を眺めていた


如月財閥の場所は知ってる。
鈴の婚約者が如月財閥の養子やって聞いてから、いろいろ調べるために、何度か近くまで行ってる。

なんも分からんかったけど

あぁ


見えてきた



「あれか」

「うん」


アポなんてない。連絡先知らんし。がんばるよ。できる限り…落ち着いて話せるように



「行くぞ」


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