愛は惜しみなく与う⑥
そこで私たちは自然と、サトルの他に、如月冬馬という人物が居るように仕立て上げられた。
一言も別人だなんて言ってない。
けど、まさか…そんなこと…
「私と結婚してくれるって言ってたのに」
いや、そうですよ。
鈴?
おかしくないですか?
「貴方、サトルのことが好きだったんじゃないんですか?」
そうですよ。鈴はサトルのことが好きだった。もし本当に如月冬馬とサトルが同一人物なら…
あんな事しなくても
自然に結婚できたんじゃないんですか?
「好きだったよ、、好きだったから、こんな政略結婚みたいな形じゃなくて、好き同士で、立場なんてなくても愛しあえるって…証明したかった。本気でそう思ってた」
頭がおかしくなる
婚約者がサトル…
杏様が…杏様が婚約者に会う前に、止めなければ