愛は惜しみなく与う⑥
言いたいことは分かる。
何に重きを置くかは人それぞれなんも分かる。でも…


「それでも、やり過ぎやろ…」


常識なんて言葉は通用しないサトルの中のルールがある。ただそれは、一つも理解できない



「たまたま養子で引き取られた場所が、如月家だった。一応この家に恩は感じてるから、連れて行かれるところには大人しくついて行った。養子に引き取られてすぐに、あの誕生日会だった。

婚約者がいるのは聞いてた。でも自覚も何もないし、興味もないし、まだそんな金持ちの家に引き取られたってゆう実感もなかった。その日は場に馴染むために連れて行かれた。

一応、如月冬馬を演じてるんだ」


ははっと空笑いをするサトル


あたしは覚えてる
あの時いた人を。



「この家に引き取られるまで、まぁそれなりに苦労した。わざわざ話さねーけど。苦労して乗り越えた俺には感情というものがない。

嬉しい、楽しい、悲しい、怖い、辛い……お前らには普通に備わっている感情が俺にはない。死だって怖くない。」


そうキッパリと言い切った

泉もただサトルの言葉に耳を傾けていた
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