愛は惜しみなく与う⑥

「感情がないから、物事に対しての先入観もないし、思入れもない。
だから、物事を冷静に判断することは得意だった。

ま、俺の場合、冷静な判断は、この世のルールから外れてるけど。

それで、お前をみて、初めて感情が芽生えた。
これじゃダメか？答えにならないのか？どうしてここまでするのかって言う、お前の問いに答えれてると思うんだけど」


ニコニコ笑うサトルは、どっからどうみても、狂気じみている。


答えになんかならへん

感情が動いたからなんやねん。感情を動かしてしまったからあたしはこんな事になってるって言うの？理不尽すぎるやろ


「あぁ、鈴のことだったな。忘れてた。お前を調べてみれば東堂の娘だって聞いて、普通にうれしかったね。政略結婚だろうが、お前を知る機会があるってことだから。でも、まさかの後継者は妹。
ほら、お前ならどう思う？普通の人間ならここで、どう思うんだ？教えてくれよ」


興奮状態なのか、無表情で話してたサトルは、突然立ち上がり自分の両手を見つめて話す


「邪魔だろ？その一言で済むだろ？ただ鈴が邪魔だった。それ以外に答えはない」


あぁ
わかってたけどさ
わかってたけど、きついな
サトルは鈴をそんな風にみてたんやな