愛は惜しみなく与う⑥
「お前に何がわかるんだよ!!!関係ないだろ!!勝手に来て、しゃしゃり出てくるなよ!!知ったような口を聞くなよ」
サトルは急にスイッチが入ったかのように、癇癪を起こした
でも泉は、態度を変えない
「……何もわかんねーよ。お前も、モノじゃないから。気づいて欲しいなら、言わなきゃわかんねーよ。俺だって、杏が何を考えてるか、皆んなが何を思ってるかなんて、知らねーよ。分かるわけないだろ?
杏の心をコントロールしようとしたんだろ?生きる希望もない奴は、操りやすいからな。だから、杏の周りを傷つけたんだろ?杏がボロボロになった処で、手に入れるつもりだったんだろ?
でもそれは、お前が欲しいと思った杏じゃない。そこまでしてしまった、杏はもう、杏じゃないんだよ」
まるで子供に言い聞かせるような言い方をする泉
サトルは頭を抱えて、うるさいうるさいとブツブツ言う
「必死に生きてる人間を、馬鹿にすんな」
ゴンっと鈍い音がなったと思えば、サトルは部屋の壁まで吹っ飛ぶ
「俺にも心がある。いま、最高潮にお前にムカついてるよ」