愛は惜しみなく与う⑥
かっこいい
純粋にそう思った
泉の存在感が溢れ出す
「はっ、手出してんじゃん」
「悪い。イラついた」
ゆらりと起き上がったサトルは、さっきまでの虚な目じゃなく、しっかりとその目は泉を捉えていた
「どうする?ここで俺をボコボコにするか?」
「いや、そのつもりはない。今日は話をしに来たのと、お前がどんな奴か見に来ただけだ」
「あ、そう。あんたの用は済んだ?」
「あぁ。想像してたよりも弱そうで、安心した」
泉のその言葉にピクリとサトルが反応する
「殺されないとでも思ってる?拳だけで喧嘩してもらえると思ってんの??」
「思ってはないけど、殺されるつもりもない」
泉の返答を聞いてサトルは大きな声で笑い出した
「あーそう。あんた、知らないんだね」
サトルはそう言って泉に近づく
あ、今度こそやばい
サトルの右手に手を伸ばす
力一杯振り上げたサトルの手には、ナイフが握られてる