愛は惜しみなく与う⑥
泉?逃亡生活??
サトルに話しかける泉を見つめることしか出来なかった。



だから


杏を連れて行かれるのが嫌なら


3日以内に仕掛けてこい



もう一度泉はそう言って、座り込むあたしの腕を引き立ち上がらせる



「お前たちの大切なもの…いいんだな?家族や仲間…どうなっても知らないからな!!」


「好きにしろ。そうしなきゃ勝てないと思うなら、そうすればいい」


そのまま手を引かれサトルの横を通り過ぎるとき



「絶対殺してやる」



歯を食いしばりサトルが睨んでくる。
あたしは目をギュッと閉じてその横を通り過ぎた



「杏…お前は絶対に俺に屈する。お願いだからやめてくれって泣き叫んでも、やめないからな!!仲間がどうなってもいいんだな!!」


……ッ
こわいよ。みんなのこと思うと、すごくこわい。どうなってもいいわけ無いやん。
1番にみんなを守りたいのに。

でも…



大丈夫だと、泉があたしを握る手に力を入れたから


振り返らない



泉が全て対応してくれたから



信じてあたしも一緒に闘うだけ



サトルの部屋の扉を閉めてようやく、息が吸えた
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