愛は惜しみなく与う⑥
「きっと…サトルがさっき言ってたことは本当だろうな。ただただ不気味だったけど」
泉は前を見ながらそう言う
感情がない、か
だからこそ怖いねん
「サトルって死ぬのも怖くないねんてさ。あたしが春に、本気で刺して殺そうとした時、笑ってたもん。あたしの怒りが自分だけに向いて、殺したいほどの大きい感情をぶつけられて…嬉しいとか…そんなこと言うてた気がする」
頭おかしいねん。
でも、サトルがあんな風になってしまう前に、誰か周りにおらんかったんかな。ストップかけてくれる人たちが。
「不憫に思うところもあるな。まぁ、同情はしないけど。とりあえず、雄作さんのところへ行こう」
泉の口数は減った
サトルにいっぱい言い返してくれたもんな。かっこよかったよ。それでいて、心強かった
東堂組の敷地に入れば、すぐ雄作さん達が駆け寄ってくれる。
もう後には引けない
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