愛は惜しみなく与う⑥
ガルルルと威嚇する杏様をみて、雄作さんは負けたのか、私に謝ってきた。

雄作さんが私に厳しいのは今に始まったことではない。
でもいつも、こうやって…
杏様が間に入ってくれてましたね。


「杏様、大丈夫ですよ。ありがとうございます。雄作さんの厳しさには慣れましたので」

『慣れたらあかん!厳しいのと理不尽は違うやろ?』


ほれほれ!!と鷲掴みにした顎髭に力を入れている杏様

あの…
その人は一応、東堂組の組長なんですよ?もう少し扱いを…

そんな様子をやれやれいった表情で見つめて、泉は仕切り直すように話し始めました。



『俺たちから仕掛けるべきだと思いますか?』


そうですね
私もまともに作戦会議をしたかったところです。


「一度、スピーカーとテレビ電話を終わらせて、二人で話せませんか?」


別に今回に関しては、杏様に聞かれて困ることもないんですが。
話が進まないので


『まーーたそうやって仲間外れにする!』

「仲間外れではありません。人選をしただけです」
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