愛は惜しみなく与う⑥
泉はチラチラと杏様を見て、眉間にシワを寄せる。
杏様がうるうるとした目で泉を見ているから。

いつからそんな、おねだり顔ができるようになったんですか??


「泉」


声をかければ泉は杏様から視線をそらして、コクリと頷き電話を切った。

ふぅ
なんとか打ち勝ってくれましたか。今頃、杏様に軽く殴られてそうですが…



泉からみて、サトルはどうだったか…嘘偽りなく聞きたいんですよ。

杏様の前で鈴の話をするのは、ここまできたら抵抗はありませんが…


あの日を思い出させる回数は減らしてあげたい。

辛い思いをさせてしまう事に変わりはないので


2分くらい経って、泉から電話がかかってきました。


「もしもし」

『俺です』

「杏様は?」

『雄作さんに取り押さえられてる』


まぁなんとも…猛獣みたいな扱いですね…
あながち間違ってはいませんが。


『俺からも少し話したくて。志木さん、今は1人なんですよね?』

「ええ。朔さん達は無事です」


そういえば、泉と連絡を取るのも久しぶり。朔さん達に何をしてもらっているか、言ってませんでしたね
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