愛は惜しみなく与う⑥
そういうことか


「警察は動かせないんですよね?」

「はい。正直…警察内部も信用できません。サトルが逮捕されていた事も、有耶無耶にされるような所です。証拠を集める時には、警察に居られると都合が悪いかもしれませんから」


ほんと、何かの映画みたいな展開。
警察内部にまでスコーピオンの力が及んでいて、数々の犯罪が有耶無耶にされてきた。

それを俺たちは暴く。

なんて、そんな大それた事は考えていない。


ただ、杏を救える情報が欲しい



「もし上手くいけば、この証拠だけでサトルを逮捕できるかもしれません。そうすれば、杏様がサトルと…泉がサトルとやり合う必要も無くなってきます」


なるほど。
その方がいいよな。
だって、辛い思いは必ずするから。サトルを見たら杏は、色々思い出すだろうから。

これで済むなら…



「志木さん、俺らがんばるよ。だからあんたも、さっさとその傷治せよ」


ここまで来たなら頑張れる
目の前の志木さんは少し驚いた顔をして、微笑んでくれた。

この人も、、出会った頃から随分と丸くなったな
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