愛は惜しみなく与う⑥
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「……これは」


合図とともに廃校に入って、1番に目に飛び込んできたのは、血だった


信長さんは少し驚いた後に、俺たちの視界から、それを外すように誘導する。
でも、見てしまった。


見たことない男が、倒れているのを


「今のって…」


響がそう呟いたのに対して、信長さんは、『ウチじゃないから大丈夫』と答えた。

ということは、スコーピオンの奴なんだろうけど…

あまりにも衝撃的すぎて、身体が一気に冷えた


「信長!!!ガキに見せるな!裏からって言ったろ」


近くに信長さんと同じような服を着たおじさんが来る。その人は、さっきの血だらけの人の方を見て言う


「すんません。裏に回ります」

「嬢に言われたろ!!守れってのは、怪我させないようにするだけじゃねーんだ。しっかりやれ」

「はい」


信長さんは、俺たちに謝って、正面ではなく裏側にぐるりと回る

ただただ足を動かしてついていくことしか出来なかった。


「ごめんな…嬢に怒られるわ。嫌なもん見せた」


まぁ、そうだよな。
あんなんに慣れてるやつは居ない
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