愛は惜しみなく与う⑥
恐ろしいですよね

現実逃避したくなります


でも、逃げてる暇もないんです


「最後にもう一つ最悪なことを言います」


これ以上何があるんだよと言いたげな泉の顔を見て、苦笑いをしてしまいます。
そりゃそうですよね

これ以上…悲しいことなんてないのに



「如月冬馬はサトルです」



これは誤算でした。
何かの理由で鈴はサトルに惹かれて、サトルとあの事件を計画をした所までは読めてたんですけどね。

まさか同一人物だなんて


「は?何を…」

「否定したい気持ちもわかりますし、は?って私も言いました。でもきっと、事実です。これで…全て繋がったんですよ」



全てサトルの計画


杏様が鈴が居なくなって、後継者になるのも予想していたんでしょう


ギリギリまで鈴に優しくして騙し、計画に付き合わせて…


そして本格的に杏様が後継者として動くのを見て、鈴を捨てた


杏様と結婚するための、全て仕組まれた計画



「ハザマさんが持っていた写真は…サトル本人が、杏を撮ったってことか」


泉は呆然と呟いた
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