愛は惜しみなく与う⑥

「杏様が大切にする貴方達は、私の中でもとても大切な存在になっていました。自分の身体がこんな状態の今……自分で守ることができません。だから、こうするしか無いと思ったんですが…私はまた間違えていましたか？」


不器用だなって思った
間違えてるよ
話してくれなきゃわかんない


志木さんが、俺たちを大事に思ってくれていることは、嬉しかった。

会えばいじってくるし、言い合いばかりしてるけど…


俺だって志木さんも、守ってやりたいよ。そんな力はねーけど。気持ちはそう思うから。



「守りたい人が増えて、怖かった」


「杏の側にしかいねーから、そんな不器用になるんだ。頼り方も知らない……俺らはあの日、後悔した。杏を守ってやれへんかった。杏が初めて頼ってきたのに、助けてやれへんかった。

だから今回は、守れるまで、助けれるまで、一緒に頑張ろうや。
お前に守ってもらおうなんてこれっぽっちも思ってへん。自分の身は自分で守れる。まぁ、爆発したら無理やけどな？

とにかく……心配してくれてるのは分かるけど、帰らすな。心配なら目の届く範囲に置いとけ」


昴さんは志木さんのオデコを軽くグーで小突いた。その時の志木さんは、今まで見たことないくらい、幼く見えた