愛は惜しみなく与う⑥
「……人付き合いとは難しいものですね。守り方が分からない。とても…難しいですが、どこか心地いいものはあります」


「あんたね……はぁ。どんだけ一緒に居たと思ってんのよ!何回も言ってるでしょ」


美奈子は身体を乗り出して、志木さんの胸ぐらを掴んだ


「あんたが思うほど、周りは弱くない。あんたがあたし達を想う気持ちが、あたし達を弱く見せてるだけ。それだけあんたが……傷つけないようにっていつも考えてくれてるだけなのよ。でも見てみなさいよ」


美奈子は周りに目を向ける


「なんだかんだ元気でしょ。薔薇で何かあっても、怪我しても、みんな元気でしょ。大丈夫。突き放される方がキツイわよ」


「うん、そうやね。志木くんはちょっと、頭が硬いんかな?それとも頭が良すぎるんかな。そんな一生懸命守ろうとしなくていいよ。1人で無理でも、みんな居たら…頑張りすぎなくて済むんやで。
杏ちゃんにも、そう言ったって〜」


アハハと敦子は笑う

こんな人たちの中で過ごしてきた癖に、杏も志木さんも、本当に頼り方と、守り方が下手くそだ
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