愛は惜しみなく与う⑥
わかるんだな。みんなすげーよ


「この顧客リストは東堂組…いや、私が処理します。もし仮に、杏様のことが解決したとしても……有り得ないほどの犯罪が明るみになるでしょう。何より……」


志木さんはもう一度、杏の妹に雰囲気の似てる女のページで手を止めて、悔しそうに唇を噛んだ

真相を


聞くのが怖い



でも女っていうのは、勘がいい



「この子…青海学園の子。妹のみがわり?」



美奈子は目をつぶったままボソリと呟いた


身代わり…




「………憶測でしか有りませんが。嫌な予感がしていました。あの事件で本当に…誰か死んでいるかもしれません」



死んだ?
妹は…死んだと思ってたけど生きてたんだよな?

まさか…


頭の悪い俺でも、いろいろ思い出して繋がった


モヤモヤしてたものが、スッと通った



「杏が生死を確認したのは、その女性ってことですか?」



新がそう言って、自分の中で更に鮮明に繋がっていき、身体が震えた。




「杏様は脈まで測りました。そして脈はなかった。でも鈴は生きていました。
杏様が……あの時、脈を測ったのは…



この女性かもしれません」



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