愛は惜しみなく与う⑥

「あの女性のことは昴達に任せますね。きついお手伝いさせてしまって申し訳ございません。今から、東堂家に行きましょう」


私は皆様を守らなければ


杏様を笑顔にしてくれた人達を、彼女のもとへ連れて行かなければ。


この爆発騒動の前に、杏様と泉は、サトルの家から帰ってきて電話をくれました。


正直その話で頭は混乱してたんですが、その後にあんな爆発があるもんですから……

どうにかなってしまいそうでしたよ。


あの電話で……存在を消してしまうことが出来てしまうと、悲しそうに言った杏様。

サトルとの共通点を探さないでほしいです。


似たところがあっても、杏様とサトルは違うんですからね。
杏様の責任でもなんでもない。

あの後、泉が…杏様をなだめてくれたと思いますが、少し心配です。



「志木さん、杏に会えるのか?」


声の方を振り返れば、朔さんを先頭に、皆様がすがるような目を向けていた。
そうでしたね


杏様もきっと、皆様に会えば元気になるはずです。



「杏様と泉に会いに行きましょう」



目をキラキラ潤ませる4人を、ちゃんと連れて帰らなければ。


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