愛は惜しみなく与う⑥
「びっくりした!!!開かへん思ったら泉が乗ってたんか!焦ったーー!閉じ込められたかと本気出すところやった」
ひょこりと地面から顔をだして、俺の目の前に来る杏
「地下に行ける扉やねん。床の。」
なるほどな
全然気づかなかったよ。
てゆうか、俺、その扉の上に乗ってたんだけど、持ち上がったぞ?
下から杏が開けようてしてたってことだろ?
どんな力だよ……
「え?もしかして追いかけてきたん?」
「うん。そうだよ。急にいなくなるから」
「あ、そっか。ごめん」
ほんまやな、頭で考えるよりも身体が動くねん。杏はそう笑った
泣いては…いないか
「大丈夫?1人で泣いてるんだと思ったんだけど?」
そう言うと、杏は恥ずかしそうに否定してくる。
「ちゃう!泣いてない!」
「ほんと?別に強がらなくていいのに」
「強がってない!盗み聞きしたことに罪悪感を覚えて、逃げてきた」
ハハっと笑う
でもそんな笑った顔でも、悲しそうに見えるからさ。
「大丈夫だって何回言えばわかる?」