愛は惜しみなく与う⑥
「からかってるやん!可愛い言うな!」


は?

杏はそう言って足元の扉をあけて、また地下に潜った。


「可愛いって、怒られるのか…?」


杏にしか言ったことがないから分からないけど…褒めてるのに、怒られるのか。
難しいな


入っていいかわからないけど、入口はもうわかったから…入るか

杏が潜った扉

開けてみれば、本当に映画で見るような秘密の地下室的な

誰だよこんなの作ったの


畑の中にある地下室

なんとも不釣り合いな…


階段を下りれば、小さな部屋が


そこに杏は居た


「ここは?」

「げ!なんで入ってくんの!」

そんなに嫌がられたら傷つくんだけど…

秘密基地のようなその場所は、可愛いランプで照らされて、意外と明るい場所だった。


そして何か気づいたのか、杏は急に俺をこの部屋から出そうとする。


「ちょ、ちゃんと話すし、上行ってて」

「なんで…ここの方が涼しいのに」


外はまだまだ暑いんだけど、この地下室はひんやり涼しい。
杏に押されて階段に脚をかけたが、部屋の一角にある、ある物が目に入った
< 308 / 430 >

この作品をシェア

pagetop