愛は惜しみなく与う⑥

「杏が手を差し伸べたとしても、サトルはきっと……その手を取れなかったと思うよ。まぁ何を話しても、" たられば " になるけどさ。
俺は杏やみんなの無事しか考えてないから、迷わずサトルをやれるよ。杏が迷うなら、俺が居る。杏は迷って良いよ。あ、俺と敵対だけは無しな?杏には手を出せないから」


最後はまぁ冗談だけどさ
いろいろ思うことはあると思うし、すぐに決めろって言うのも酷だと思うし…

でもすぐに動かなきゃいけないからさ


「泉に…頼りっぱなしになる」

「そうか?まだ足りないけどな」

「んーん。もう充分助けてもらってるし、ほんまに泉に、サトルとやり合ってもらおうって思ってへん」


まだそれを言うか…


「俺負けそう?」

「んーん。でも怖い」


まぁ俺も怖くないと言えば嘘だけどさ。その場に一緒に居れない方が怖いし。

ここで何もできなかったら、俺ただただ東堂家に侵入しただけだからさ。


「これ以上、みんな関わって欲しくないって気持ちと、みんなにそばにいて欲しい気持ちがあってさ、矛盾してるねん」
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