愛は惜しみなく与う⑥
「昴ってのは、志木と同い年やねんけどさ?1番付き合い長いかなぁ〜あたしが中学の時から1年間にわたって、ボコボコにしてん!」


ボコボコにしてん!と笑っていうのは杏くらいだろうな…お気の毒に…


「当時あたしは志木と2人で暴れてるだけでチームとかではなかってんけど、そこに毎日のように現れて喧嘩挑んでくるのが昴やった。最初は鬱陶しいなって思っててんけど、まぁなんせ毎日来るから…仲良くなったなぁ」


杏はそして1枚の写真を指さした。
そこにはまぁヤンキーだと言わんばかりの風貌の男が杏と肩を組んでる。


「強くなりたいらしくてさ、見た目もこんな尖ったヤンキーしとってん。でも昴はすごいええ奴でさ。可愛い妹がおって、その子を助けたくて強くなりたかってん。
まぁ…複雑な家に住んどったんやけどさ。

今はこんなアホ面ちゃうで?あ、顔は変わらへんけど、こんな鶏みたいな頭してないし、ちょっと好青年風になっとるわ」


杏はケタケタと笑い、懐かしむように写真を笑顔で見つめていた。

杏の昔の話
俺の知らない杏の話
< 316 / 430 >

この作品をシェア

pagetop