愛は惜しみなく与う⑥
とても嬉しそうに、楽しそうに話す

この人達のことが大好きだったんだな 


「みんな大好きすぎて困るわ。いまだに思い出してここに来ては、当時の事を頭に浮かべてる。あたしも未練がましいよな」


自分から手放したくせに。そう呟いた



「杏の大事な仲間だったんだろ?諦め切れないなら迎えに行けばいい。今はこんな状態だけど、解決して…また杏が堂々と生きてけるようになれば、迎えに行こう」


杏をここまで育ててくれた人達だから
絶対に手放したらダメだ
この人達に出会ったから、杏はこんなに優しくて強く育ったんだ。


「迎えに行ったら…あたしチーム掛け持ちになるで?」

「ん?」

「薔薇と烈火、どっちも入ってることになるけど、揉めへん?」


冗談ぽく杏は笑う


「杏だけ特例だ。ダブル所属許すよ」


俺も自然と笑えた
もしそうなったら嬉しいなって思う。
杏の居場所は、どこにでもあるんだよって分かるはずだから。

地元に居ても、俺たちのところにいても、どっちも居心地がいい場所だといいな。


< 319 / 430 >

この作品をシェア

pagetop