愛は惜しみなく与う⑥

「誰か知らん人が…巻き込まれてる?」


サーっと血の気がひいた 
志木の言わんとすることが分かったから。


「あそこに倒れてたんは鈴じゃないけど…違う人が…あたしの目の前で死んでたってこと?」


身体が震えた
志木はあたしの震える手を握る


「大丈夫。大丈夫ですから」


こわい
誰かの人生を奪ってしまった?


「身元が分かりそうです」

「どうやって?」

「見るか見ないかは貴方に任せます」


志木はそう言ってあるアルバムをあたしの前に出した。それに触れようとしたが、手が動かない


「これは、なに?」

「……スコーピオンのアジトで見つけたものです。中には…スコーピオンのターゲットになった女性が、沢山……まとめられています」


震えが止まらへんわ
どういう物かわかってしまったから。きっと、見たくない、悲しいものばかり

でも


「スコーピオンの…悪事を世に…伝えれるのは、あたし達だけやもんな」


こわいよ
全部背負う事はできひんけど
被害にあった人とか、亡くなってしまった人がいるなら……

このままにしとけへん
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