愛は惜しみなく与う⑥
泉が守るって言ってくれてるのも分かってる。

でも迷わへん
一瞬迷ったり、揺れたりするけど…

あのアルバムを見て、顧客リストも見て…やっぱり許せへんから。
どんな理由があれど、どんな過去があれど、あたしはサトルを許さへん



「もう迷わへんから…」

「杏様…」


サトルはあたしだけならきっと…全てを話すやろう。あたしは全部知りたいねん。

かもしれへんとか、そんな想像じゃなくて、あいつがどう思ってどう動いて…どうしたいのか、知るべきやと思うねん


「あたし頑張るからさ、志木は…お願いやから鈴を探して…!!!」


そしてずっと気がかりで、考えないようにしても無理やった事


鈴が…心配や


この期に及んで、こんな事されといて、心配するの?って言われるかもしれへん。
あたしも思う。
正直騙されてたし、裏切られてたし、理由は知らんけど…

あたしのこの苦しみを鈴も笑ってたというなら、ムカつくし許せへんけど…

でも…



「家族が……生きてた。あたしの妹が…生きててん。もうこれ以上悪ささせたくない。お願いやから見つけてっ」

涙が止まらへん
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