愛は惜しみなく与う⑥
ずっと考えてた

なんでこうなってしまったんやろって。

なんで鈴のことを止めれへんかったんやろって。


でも最終的にごちゃごちゃ考えて辿り着くのは、『生きてて良かった』って感情やねん。

もうどうしようもないくらいアホなんは分かってる。でも



「みんなに呆れられるかもしれへんけど、でも、あたしは鈴と仲直りしたい……ごめん、こんな弱虫で。突き放すとか…できひん」


「…杏様。泣かないでください」


それ以上、鈴をどうするか、何も言わない志木は、ただただあたしをなだめた。
過呼吸になりそうや。

何回も何回も頭の中でシミュレーションした。


鈴に会ったらなんて言おう
まずは謝ろうか
なんでこんなことしたか聞こうか

色々考えてるけど、でもやっぱり



思うことは一つやった



「やっぱりサトルを待つのはアカンな。こっちから動くわ。その青海学園の子の話だけ、調査は進めておいて」

「どう言うことですか?また如月家に行くのですか?」

「んーん。連絡してみるわ。母上から聞いたら電話番号分かると思うし」
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