愛は惜しみなく与う⑥
朔の顔に触れようと手を伸ばすと、思いっきり避けられた。

お姉さん悲しむよ?


「朔…」

「てめぇは!!」

バッと振り返りあたしの顔をみる朔


「てめぇは……杏は…そんなしんどい環境で…生きる決意してたんだな。俺知らないからさ…あの時も、気持ち分かってくれる杏に甘えたけど…

お前も…甘えていいんだぞ?」


初めて朔が、あたしの頭に手を乗せた

優しく、ソッと


「泉から全部聞いた。なんでってばっかり思ってたけど、そうだよな。杏は優しいから、自分を犠牲にしてしまうよな。分かってたのにさ…ごめんな。分かってやれなくてごめん」


朔は思っていたことを吐き出した

朔のいう、あの時は、朔の家のことを話した時やと思う。
違うよ、朔

あの時…朔が救われたと思った時、あたしの心も救われてたんやで

甘えてるよ


いっぱい甘えてるよ


でもみんなに直接言いたかった



「アホな決断してごめん!みんながあたしを仲間にしてくれて、仲良くしてくれたのに、嘘ついててごめん!妹に…なろうとしててごめん!居なくなろうとしてごめん……ほんまに、ごめん」


苦しい
ずっと言わなきゃって思ってた
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