愛は惜しみなく与う⑥

泉に嘘は通用せんな


「あの場所にずっと居るから、来たい時に来い。内容はそう書かれてたけど。あの場所で、杏は分かったのか？」


絶対嘘をつかせないためなのか、逃げないようにしたのか、泉はあたしの両手を掴んで離さない

メールの内容
パッと見やったから定かではなかったけど、やっぱり、、あの場所って書いてあったよな。

あの場所


あたしとサトルにそんな思い出の場所なんてない。

でも、あの場所が差す場所は分かる




「あの事件の時の場所。鈴が死んだと思った場所。あたしが…サトルを殺してしまおうと、刺した場所」


あの日以来、一回も近づけてない場所がある。事件のことを調べるならそこに行くべきやのに、行けていない

トラウマとかそんなんじゃない


もっと、黒い感情


ドロドロで考えるだけで吐気がする場所


「いつ行く？」

「それゆうたら1人で行こうとしてるのに、意味なくなるやん」


笑ってしまった
泉がいると心強いけどな。泉は強いし喧嘩では負けへん。絶対に

でも喧嘩じゃないから


頭の中で何回サトルを殺したか