愛は惜しみなく与う⑥
そう付け加えて、泉の顔を見る前に


身体が宙に浮いた



「ちょ、何してんの!」

「勝ったから。俺の好きにする」

「だからって!!持ち上げんでええやろ?」


あたしはいきなり泉に肩に担がれた。
米俵みたいに。
あたしの目の前には、泉の背中がある。


背中を押して腹筋使って身体を起こすが…


「大人しくしてて」


グイッと元の体勢に戻される

……怒ってる


「杏?」

「…はい」

何を言われるのか少し怖い
みんなのところに戻って、1人で行こうとしてたこと…言われるやろうな

みんなが心配してくれてるのも、泉はよく分かってるから



「このゴタゴタが終わったらさ、聞いて欲しいことがある」

「え?」

「ダメ?」

「いや、話くらいなんぼでも聞くけど…」


そんな改まって話すことある?


「俺は、杏に話があるから」


そゆこのか。
ちゃんと解決させて…あたしは、あたしで居ろってことやな。
鈴になろうと、するなってことやな


分からへん
鈴がこのままどうなるか分からんし、戻ってこないかもしれへん。
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