愛は惜しみなく与う⑥
あたしの携帯で電話をする泉をただ見守ることしか出来なかった


「1人では行かせないよ。俺と2人で行くよ。守ってもらえそうな人数揃えとけば?え?あぁ…何かするなら手は出すけど、俺から手を出すことはしない。信用?そんなもんお前に必要ないだろ?」


フンと鼻で笑った泉



「明日の朝、行く」



最後にそれだけ言って、泉は携帯を耳から離した。

しゃがみ込むあたしの手を引いて、その場に立たせる



「2人で行こう」


半ば強引に…そう決まったから
でも手の震えも止まったよ


「早く寝て、明日の朝…まぁ起きたら行こう」

「みんなには…?」


てっきり泉はみんなに言うのかと思った。



「言わないでって頼んで?」

「へ?」


なんて?頼んで?


「みんなに言わないでほしいだろ?」

「う、うん。それはそうやけど…」

「交換条件」


泉はトンとあたしを壁に押しやる
えっと……



「可愛く頼んでみ?」



この人は何をゆうてるんやろか?

可愛く?頼めって?
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