愛は惜しみなく与う⑥
ポカーンと口を開けて泉をみていたら、クスクスと笑い出した


「目つむって?」

え、いや、ここで目を瞑るのはおかしいと思うねんけど?
まだ目はガンガン開いてるけど、泉は気にしないのか、あたしの左手をそっと持って、指にキスをした



「俺が守ってあげるよ。必ず。だから杏は、やりたいように、やればいいんだよ」



なんやそれ

さっきまで吐きそうで動悸やばかったけど、今は違う意味で動悸がやばいよ


びっくりして手をグーにして指先を引っ込めれば、泉はあたしの手を離した



「よし、戻るか。夜部屋に行くから。そこで明日のこと決めよう」


こんな大事なこと
軽く決めてしまっていいんやろうか


泉の行動に驚きすぎて、頭も体も固まったままやで



「おっせーーーな!下痢か?」


部屋の扉を開ければ、開けたと同時にそんな言葉が朔から飛んできて我に帰る



「女の子に向かって下痢ゆうな!」


とりあえずゲンコツ

ふぅ。


なんか、頭が回ってないからボーッとしてるわ
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