愛は惜しみなく与う⑥
「杏様、胃腸薬いりますか?」

「あ、志木…」


志木には言わなきゃとは思うけど、ついてこれない身体では、もどかしくさせるだけかな。

もう夜やし

明日の朝に行くなら

時間ないよな


「どうかしましたか?」

「んーん。泉がトイレ前で張り込みしてたからビックリしてん」


とりあえず普通にできる
泉のおかげで、なんか知らんけど、変に落ち着いた



「杏!!!」

「うわ!!!」


左からピョンとウサギのように飛び跳ねて抱きついてきた響。


「なんだよ、見えてたろ?そんなビックリするなよ」

「ごめんごめん。可愛い顔が近づいてくるからびっくりしたねん」


笑って見せた


タイミング悪いな。
ここに来て悪化してきたかもしれへん





あたしの左目の視野



どんどん狭くなってきてる




志木にも言ってないあたしの隠し事



あたしはあの日以来

どうも目がおかしい



左目がぼやける
視野が狭くなる時がある


あの事件の後、おかしいことに気がついて、東堂の医者に診てもらった。


そして言われたのが



『ストレス性急性緑内障』
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