愛は惜しみなく与う⑥
迎えにきた
杏は1人で行こうとしてる
でも俺は…
杏に嘘をついてでも、1人で行かせたくなかった。
後で怒られてもいい
杏を……あの場所に連れて行ったらダメだ
顔から血の気がひいて、吐き気を催した杏は、唇から色がなくなり、このままぶっ倒れるんじゃないかって…
怖かった
全ての根元がそこにあるのなら…
俺1人ででも、みんなと協力してでも…杏には行かせない。
そして震えた杏の携帯
そのまま電話をしてみれば、すぐにサトルが出た。まるで俺が電話をかけるのが分かっていたかのように、お前かと笑った
そして言った
『隣に杏はいるんだろ?どうせお前らを置いて1人で俺のところに来ようとしてるはずだ。そうだろ?いいか、今から話すが、俺の問いかけに返事はしなくていい。適当にそれらしく違うことを話せ』
そう言われて意味がわかった
杏に会話の内容を悟らせるなってことか
望むところだよ
そっちが気を遣ってくれるなら、俺も乗るよ
そしてサトルはそのまま手短に話してきた。