愛は惜しみなく与う⑥
志木さんは話を呑み込むのが早くて助かる。
すぐに送られてきた地図は、ここから少し離れた場所にあった
ここで…杏は…
「志木さんは来ますか?」
1番そこが重要だ。その場にいるのと居ないとでは、戦況の有利さもかわってくる。
「勿論行きますよ。この為にこの痛み止めを飲まずに耐えてきたんで」
志木さんは、数時間なら痛みも忘れる危ない薬だと笑った
本当ならそんなの飲ませたくないけど、仕方ない
「お願いします。志木さんがいけるな、2人で行こう」
「は?待てよ、俺らもいく!!相手は10人だろ?それに…何をしてくるかわかんねーだろ?」
「そうだけど、普通の喧嘩なら、10人も俺1人でなんとかなる。そこに志木さんが居るなら2人で事足りないかな」
志木さんがどれだけアドレナリンでカバーできるかは分からないけど…
「ダメだよ。もうここまで来て俺たちを守ろうてしないで。泉はいつも…1人でやろうとするんだから」
杏ちゃんと一緒だよ
慧は眉を下げて言う
「怖いんだ」